motowakaの備忘録

毎度ご無沙汰いたしております

門嶋政巳 ―みずみずしく残酷な視覚―

門嶋政己さんの個展が富山県民会館美術館で開催されています。 画集に書かせていただいた文章をブログに掲載しておきます。

越中人気質

「越中人は粘り強い」と、よく言われる。 本当にそうだと感じる。だが、少し違う角度から見ると、「粘り強さ」は「頑固さ」「強情さ」と紙一重でもある。 そんなことで、ときどき困ることもある。それでも、ふるさとを離れて久しい越中人にお会いして、ふと…

「コミュニケーションの場」としての美術館

私はあまりコミュニケーションが得意ではありません。 いつも駄目なわけではなくて、「スイッチON」にすればある程度できるけど、長時間持続できないというか。ちょっと頑張ってコミュニケーションすると、反動でしばらく「スイッチOFF」になっちゃいます。…

「これからの美術館は、“社会教育”なんて言ってたらダメなんだよ」?

今日はちょっと頭の痛いことを言ってる人がいたので、それはないなと思ったことを自分なりに整理しておくためにメモ。偉い人曰く「これからの美術館は、“社会教育”なんて言ってたらダメなんだよ。」まあ、おっしゃりたいことは地域の振興とか、そういう面で…

未来予想図(笑)

自分はヤマ師の才能はたぶんないが、地政学的に鉱脈を見つけるセンスはもしかしたら悪くないかもしれないと思う。昔、「越中文学展」が県民会館であった頃、別にそんな話題があったわけではないはずだと思うのだが、何とはなしに「知事公館を文学館にしたら…

啓蒙を二人羽織りする前衛。なるほど、それはしんどいわ

確かに哲学者が議会制と人権(資本主義的な統治)を擁護するようでは知的創造性は望むべくもない。しかし、現代日本の支配原理は近代ではなく植民地的な専制と土俗的な無知のアマルガムであるため、しばしば前衛が啓蒙を二人羽織りしなければならない。 優等…

現場を知らない人の提言ではあるけれど

日本人よ!秘宝は隠さず、どんどん見せよ:日経ビジネスオンライン 登録必要かもしれないので、読めない人はごめんなさい。 ツイッターのタイムラインで批判が多い記事でした。 日経ビジネス「日本人よ! 秘宝は隠さず、どんどん見せよ 」に抗議する - Toget…

和歌山県立博物館施設の機能強化

和歌山県では、知事の肝いりで「博物館施設の機能強化」ということを言っているようですが、ずいぶん学芸員に対して厳しい内容であるのが気がかりです。 ようこそ知事室へ 知事記者会見 平成25年10月22日 | 和歌山県ホームページ 問題意識は、2つありまして…

「アートのカジュアル化」

今日こそはあちこち行くつもりだったが、持病の群発性頭痛に襲われて、身動き取れず。 勉強も手につかず。 「アートのカジュアル化」ということが、ふっと頭をよぎる。 違和感は間違いなくあるのだ。しかしその立場は圧倒的に劣勢だ。 「そんなものは!」と…

県内さまざまなジャンルの文化人の「県立美術館」への視線

私のHappy Life アート ~ 県立美術館コレクションから ~ - 大分県ホームページ 大分県立美術館の推進局のウェブサイトはけっこういろいろ発信していて、興味深いことが多い。 しかし、この企画は美術館側の主導というより、新聞社側の主導のような気がする…

シンポジウム「進化する美術館」の後日談

「先日のシンポジウムのことで話が聞きたい」というお客様がいる、と受付に呼ばれ…。 http://www.pref.toyama.jp/branches/3042/home/diary201308.htm#aug15「何だろう?クレームかなぁ…?」とおっかなびっくり出て行ってみると。抄録が掲載された昨日の北日…

自問自答

いろいろ“権威的なもの”から感覚を自由に解き放つ楽しさを知ってもらう。 美術館とは、そんなところだと思って仕事しているが、 けっこうな数の人が、むしろ“権威的なもの”を求めてやってくる場でもある。そういう権威志向の強いひとを相手にしないというス…

太閤山ビエンナーレ2013 来場者の意見から

太閤山ランド内の各所で、富山の元気な作家たち50人が意欲あふれる作品を発表した太閤山ビエンナーレは、8月31日で好評のうちに初回の幕を閉じた。作家たちの手づくりによるこの展覧会は、もちろん展示内容も優れていたが、来場者アンケートでは「大変よい」…

先日、北日本新聞に太閤山ビエンナーレを振り返っての記事を掲載していただきました。 字数の関係で、内容をかなり削ってしまいましたので、削る前の原稿をここに載せておきます。

ん?これは発表されてたっけ?

富山県立近代美術館移築設計/提案競技で13年度内委託 | 建設通信新聞 消えないうちにメモ 富山県立近代美術館移築設計/提案競技で13年度内委託 【延べ約1万?、事業費50億超】 富山県は、移転新築を計画する県立近代美術館について、2013年度内に公募型プ…

瀧口コレクションについて、今日ある人と話して思ったこと

戦後の日本の現代美術のありように関心を持つ人にとって、ほとんど自明のものである瀧口修造の業績だが、それを門外漢に分かるように紹介する方法は、どのようであるべきなのか。 富山県立近代美術館には、瀧口の書斎に置かれていた内外多くの美術家から贈ら…

twitterのまとめ掲載、やめました

あまり更新がないのもアレかと思い、生存報告的に日々のtwitterのまとめを掲載してましたが、「やっぱ邪魔だなー」と気づきましたので、廃止としました。

「アール・ブリュット」について

米田昌功さんから、滋賀でのアール・ブリュットについての取り組みの資料をもらったので目を通す。 「作品」なのか「作家」なのか。そこにはアートの本質について考える切り口があると思うのだが、丁寧に、慎重に、触れていかなくてはいけないのではないか、…

作品の「よさ」や「美しさ」について小学校の先生方とお話ししていて

平成20年に改定され、平成23年から全面実施されている学習指導要領について、先生方とお話しする機会が近ごろ多い。 小学校学習指導要領解説 図画工作編(PDF) 21 世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基…

建設通信新聞の記事

http://www.kensetsunews.com/?p=15390建設通信新聞の記事。消えないうちにコピペしておく。 富山県/13年度末までに報告書/近代美術館移築で部会 富山県は26日、有識者らで構成する第1回県立近代美術館移転新築部会を富山市の富山県民会館で開く。会合で…

「混ぜるな危険」

─大衆音楽を幅広くアートと捉えて、美術館で展示することに疑問を持つ人も少なからずいる。「専門家や芸術家の中には『そぐわない』と感じる人もいるだろう。開設当初は『日本の近現代美術作品の展示』がコンセプトだったが、市長に就任して以来、『横須賀の…

「越の祭A」1976年

和紙・アクリル系絵具、水彩絵具 162.0×130.5cm 《越の凾人》―箱に閉じ込められた人物のすがたは、森弘之の画業を代表する題材である。こいつは顔を見せたことがない。いや、たまに顔らしきものが覗いたと思えば、それは決まって仮面のようなものなのだ。この…

昔書いた記事を読みなおしてみたら、何かぐっときたので、とりあえず再掲しておきます。付け足すことがありません…。

メモ

@ka2saiki: 基礎的な理論や言説が共有されれば、海外の新しい動向をいち早く取り入れて、その情報の格差で成立するような作品や批評は一掃されるだろうし、そのうえで作品が作られ、批評が為されるようになると思うので、より健全な状況になるのでは。2013-0…

「パレット」 高田 誠(1913〜1992)

ひとつの名画が完成するまでに、画家の絵筆は何百、何千回も、画面とパレットの間を往復します。パレットは、いわば画家の分身。そこには巨匠たちの創作の秘密が隠されています。 日展の理事長も務めた高田誠(日本藝術院会員、文化功労者)は、山麓に抱かれ…

お久しぶりすぎてお恥ずかしいです。

北日本新聞 富山市内ミニコミ紙「みら〜れ」4月号(No.130)に掲載された文章です。 「色彩は踊る 巨匠たちのパレットと作品」展は6月28日(日曜)まで開催中です。是非ご覧ください。

「清原啓一回顧展 新花鳥画への道程」―時代を映す装飾性

まさにこの稿を書いているさなかに清原先生の訃報を聞いた。信じがたい思いで胸がいっぱいである。“群鶏の画家”として知られた清原先生は、実に勤勉な画家であった。始終動き回って、描くに苦労の多い鶏を画題として半世紀以上。会場には、生涯の画業から選…

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます

昨年末に刊行された『美術年鑑』に掲載した原稿ですが、転載しておきます。今年もあまり満足に更新できないかもしれませんが、何とかやっていきたいと思っています。

越中文学展、面白い企画でしたね

県民会館美術館で開催されていた「越中文学展」。本当は貸出している絵画の関係だけの協力のはずでしたが、これでも一応は学芸員。古巣の美術館でもあり、門外漢の分野ではあっても展示にご協力できるところは多少お手伝いをさせていただきました。特に展示…