motowakaの備忘録

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「混ぜるな危険」

─大衆音楽を幅広くアートと捉えて、美術館で展示することに疑問を持つ人も少なからずいる。

「専門家や芸術家の中には『そぐわない』と感じる人もいるだろう。開設当初は『日本の近現代美術作品の展示』がコンセプトだったが、市長に就任して以来、『横須賀のイメージを高める施設』になることを強く意識してきた。様々な経緯の中で建設された美術館だが、あり方そのものを大きく変えなければならない。社会教育施設ではあるが、集客を重視しているのはそのためだ。横須賀市として、美術館をどう評価されたいのか、ということになるが、『多くの人が訪れていて、収支も悪くない。かつ子どもたちが本物のアートに気軽に触れることができる』これが目指している方向性。トップランクの作品展示を行う施設ではない。市民のニーズもそこにあると認識している」
「改革は終わっていない」 | 横須賀 | タウンニュース

昨年だったか「ラルク」展が話題になった横須賀美術館のことだが、この市長さんは、「本物のアート」をそうでないものとごっちゃに展示することを公立の美術館でやることが、見に来てくれた観衆にどういう効果を与えるかをまったく想像できていないようだ。
テレビタレントの作品を展示することや、アニメキャラクターのちゃちな造形物を展示することなども同じだが、美術館で展示されているものを「本物のアート」と受け止め、誤った価値観を持ってしまう人が多くいるだろう。デパート催事程度のことをしたいのなら、デパート催事みたいなことだけをやっていればいいのだ。
せっかく日本の近現代美術作品のコレクションは素晴らしいのに、これでは下手をすれば逆効果だ。
テレビタレントは、テレビの中で演じている芸が「本物」で、多少かじった程度の絵は「真似事」だ。
アニメは、スクリーンの中で躍動しているキャラクターが「本物」で、わざわざ立体化した妙な造形物は「まがい物」だ。
大衆音楽(しかし、なんちゅう言い方だ…)は、耳で聞くものが本物だということぐらい、誰でもわかることだろう。

本物を知るには、本物を多く見るしかない。本物と偽物を混ぜこぜに見せられていれば、何が本物かわからない市民ばかりが育つ。
「混ぜるな危険」
こんなことも分からない市長をいただいている「横須賀のイメージ」が高まるわけもない。