motowakaの備忘録

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シンポジウム「進化する美術館」の後日談

「先日のシンポジウムのことで話が聞きたい」というお客様がいる、と受付に呼ばれ…。
http://www.pref.toyama.jp/branches/3042/home/diary201308.htm#aug15

「何だろう?クレームかなぁ…?」とおっかなびっくり出て行ってみると。抄録が掲載された昨日の北日本新聞を持ってきておられて、青柳長官の言われた「サステーナブル」な美術館とはどういうことか、「ハレとケ」というのはどういうニュアンスで言われたことなのか、などといった大変マジメな質問でした。

たしかにあれだけの時間をかけて話した内容を、1枚の紙面に圧縮するのは至難の業。さすが新聞記者さんは上手にまとめられると思いましたが、細かなところはさすがに伝わらない。


「サステ−ナブル」とたしかに青柳先生は発音しておられて、イタリア風に発音するとそうなのかなぁと思ってましたが、私が聞いたことある言葉で言うと「サスティナブル」のほうかな。まあ持続可能という意味で、近ごろのはやり言葉的には「サスティナブルな社会」というように地球環境なんかとからめて使われることが多い気が。でも、青柳先生がその日言われたのは、美術館を建てるときにたいていは目いっぱい頑張って中身を詰め込んで建てちゃうんだけど、できれば「曖昧」な性格の空間を残しておいて、10年後、20年後に備えておくほうがいい。そんな意味で「サステーナブル」ということは言っておられたような気がします。


もうひとつのほうは、なかなか難しい話。
佐藤卓先生の「デザインあ」がよかったのは、「日常」をテーマとしたところだったという話が前ふりとしてあり。
「美術館の敷居が高い」と言われる問題のひとつの解としては、そのように美術館を日常(生活空間=ケ)と地続きの場にすべきだという考え方がある。しかし一方で、非日常性(異空間としての美術館=ハレ)も大事だという相矛盾する話。
このへんのニュアンスなり兼ね合いなりは、大変難しいところ。
しかしだからこそ、改めて、面白い話だったなーと。当方の段取りはよくなかったのですが、NHKの中條誠子さんの司会進行がもう、すばらしいのなんの。
あれ、事前に想定されていたシナリオの10倍面白かったですから。間違いない。
大変ためになるシンポジウムでした。